初女おばあちゃん

 

佐藤初女さんに逢いに行った時間は私の心をゆっくりとさせてくれた時間だった。
ずっと気ばかりが焦っているような私の心をゆっくりとさせてくれるもの。

私の気が焦っているのか、それとも今度私が紹介しようとしている人の気があせっているのかそれはわからないけれど。
手を尽くしています。だけれども私が思うほどに相手も同じように思っているわけではないということ。

すとん~ とゆっくりとさせてくれた時間。

彼女が話す頭の上に、割烹着を着たアライグマが3匹、おにぎりを握っている絵が飾ってあった。
『ここに集っている人の中で、何人がこの絵に気づいているだろう…。』
主催者の加納さんの娘さん・果林ちゃんが描いたものだった。



初女さんは虹のような人だった。

どんな風にあらわしたらいいのかわからないけれど相手の言葉をしっかりと自分の中に入れた後、とてもわかりやすい言葉で私達に伝えてくれる。それもしっかりとした口調で。

彼女自体の講演は彼女の書いた本を読めば大体そこに書いてあることを話していたのだけれど
大事なのはその言葉の向こう側にある気がした。
 
最後に握手をしていただく。
どんな手であのお結びを握っているのだろう。という興味。

初女さんは両手で私の手を包み込んでなんだか祈るように頭を垂れた。
なんだかそれが私はとてもうれしかったのとびっくりし、涙がこぼれた。
涙がこぼれたことにもびっくりした。
彼女の手はとてもやわらかく、戦争や冬の厳しい生活を乗り越えたような手には思えないような。
すごいな。と思った。
この人はこんな風に人に心を置くんだな と。
私は人の顔を覚えられなくなってきていて、それを恥に思いながらも周りの「たくさん人に会うから仕方ないよ。」の言葉に甘えてきていたけれどほんとはそうじゃない事に気づいていた。
『あぁ、この人はこんな風に人の心に自分の心を添えるんだな。』

初女さんの耳元で「丁寧な心を見せていただいてありがとうございました。」というと
彼女は うん とうなずき、私の着ていた着物の帯に目を留め「これはつむぎ?」と聞いてこられた。
「そう。つむぎです。懐かしいでしょ?」といってはにかんだ。
彼女の手をいよいよ離さなくちゃならない瞬間まで初女さんは自分から手を離すことはなかった。

なんともやわらかくやさしい手をした初女さん。

最後の最後。あの握手で彼女の人生を味わえた。 というと大げさ(笑)

でもなんだかそんな気分でした。

 

 

 

 

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コメント: 4
  • #1

    まど (月曜日, 19 12月 2011 17:10)

    すてきなお話ねぇ。。。
    ときどきこうやって丁寧に紡がれる
    なおみの文章好きよん。
    しもねたももちろんいいけどね~

  • #2

    キャンベル (月曜日, 19 12月 2011 18:07)

    まどちゃん
    ぎゃぁ~ うれひぃ~
    どっちが私ぃ~ どっちも私ぃ~(笑)

    ところで身体大丈夫?
    弟に『農で・・・』であったよ。
    丁寧に挨拶してきてくれて(笑)
    顔が生き生きしていたね♪

  • #3

    りんご (火曜日, 20 12月 2011 21:49)

    佐藤初女さん素敵な方ですね。
    お会いできたた上、握手までして頂き良かったですね。
    丁寧に生きなきゃと改めて思いました。

  • #4

    キャンベル (水曜日, 21 12月 2011 14:44)

    わぁ!りんごさん。コメントありがとうございます。

    そうですね。
    全部が全部、私は丁寧に生きることができるかどうかわからないけれど
    ほうきで畳をはく瞬間や、夕ご飯の瞬間に心が丁寧かどうかを味わうように心がけることしかできませんが。
    ねぇ(笑)